64:ホテルと共に七拾五年

金谷眞一著の「ホテルと共に七拾五年」は、黎明期から発展期を記した手記です。
この特集でもたびたび参考、引用しています。


眞一が七十五歳になった1954年(昭和29年)に発行されました。

眞一による前書きにはこのようにあります。



「私の履歴書は甚だ簡単である。学校を出るとすぐ父のやって居るホテル事業を援け、終始一貫してそれを続けて来た。七十五歳の今日迄、傍見もふらず(ママ)に、斯道に精進して来たが、その間に世の中は明治、大正、昭和と日本の変革期、激動期を経て来たのだ。そして、ホテル事業も、その変化と共に育って来た。であるから私の経て来た道は、日本の辿った道を、ホテル事業と共に歩んで来た様なものだ。
そこで私は記憶を呼び起して、ここに拙文を綴り、この事業が明治、大正、昭和の日本の外交と、外貨獲得に非常に関係が深かったことを認識して戴き、斯業の発展に一層の関心をよせられることを願う一助としたい。」

「ホテルと共に七拾五年」金谷眞一・著



この文にある通り、当ホテルの黎明期から発展期にかけては、まさに日本の激動期でした。
この本には、その中で試行錯誤しサービスを創り上げてきた歴史の証言が詰まっています。
まさに、「宝物」と言える書籍です。