62:天然氷と氷室

1918年(大正7年)から、小倉山の凍った池から氷を切り出してホテル内の氷室に運んで食材の保存に使うようになりました。

氷室は現在の新食堂の位置にあった石造り3階建ての建物で、それ以前は1904年(明治37年)ごろから雪を運び入れて固めた物を用いていました。
東京から入荷した肉などはその氷の上において保存しました。
氷を切り出してホテルへ運び、氷室に入れるという作業は、ホテルの男性従業員によるもので、当初は馬車を使って運んでいましたが、重くてホテル前の坂を上がれないため翌年からはトラックを使用するようになりました。
この作業は毎年冬の一大行事となり、これが終わらないと従業員は休みを取れなかったということです。
気温が上がり、氷が薄くなって採れなくなったため、1929年(昭和4年)ごろからはこの作業を止めて氷店から購入するようになりましたが、その後も1960年(昭和35年)に新しい建物を建てるために取り壊されるまで氷室は使われていました。