150:青年 金谷善一郎
青年 金谷善一郎
ここに一枚の写真があります。
箱書きには
「東照宮 門番所に而 寫真ス
金谷利雄
明治九子五月弐四才壱ヶ月」
※利雄 は善一郎の幼名
と記され、金谷ホテルが所蔵する善一郎の写真の中で、唯一、青年期の姿を捉えた1枚です。
穏やかな表情の中に、未来を見定めきれぬ悩みと、それでも見えてきた未来へ立ち向かおうとする意志が感じられます。
現在の私たちが手に入れることができる情報量が100だとすれば、日光に住まいする善一郎が知りえた情報は5にも満たないかもしれません。まさに五里霧中をさまよっている時なんだと思います。
善一郎のエピソードはとても少なく、人となりに触れた文章もわずかです。が、模索しながらも善一郎がつかみ取った未来に、私たち、金谷ホテルスタッフは立っています。
金谷ホテル150の宝物も150になりました。 この企画の最終回です。
ここからは、善一郎がつかみ取り育てた「金谷ホテル」をこれからの150年も皆様に愛していただけるホテルであり続けるため、スタッフ達と一つ一つ物語を紡いでいきたいと思います。