121:眞一の教科書

記念誌を無事出版させたことでホッとしていましたが、忙しさのあまり手付かずだった資料の整理が大量に残っているので、おも~い腰をやっとこさ上げて昭和40年代以降のアルバムや、同じ部屋から出てきた書籍の整理を始めました。

アルバムは昭和のものでしたが、書籍は1900年代初頭のものが多く、中には和綴じ本の歌集や The Japan Times社 から刊行された本など多岐に渡っています。

その中で一冊、タイトルの印刷がはがれてしまった古い本に目が留まりました。 表紙には紙が貼ってあり「営業参考書」の書き込みと金谷の印が押してあります。まさしく金谷眞一の蔵書です。

The Practical Hotel Steward 1913年版

「ホテルスチュワードの実用書」といったタイトル名でしょうか。シカゴにあった The hotel monthly社から出版されています。


スチュワードとは、ホテルで使用する多種多量の食器の管理を担当する専門職ですが、この本の「スチュワード」は料飲部のマネージャーという感じで、ホテルのキッチン、ダイニングエリア、バーの全てを、専門知識を持って管理する仕事だということが分かります。
分からないなりに読み解くと、アメリカンプランといわれる1泊3食付きのサービスをする40室までのホテルはどこの部署に何人配置する、1泊2食のヨーロッパプランの場合はスタッフの配置が変わってくる。有名ホテルのメニューを掲載し解説したり、リクエスト別テーブルコーディネイトの方法、バーでのアルコール類の在庫管理と日々の売上の管理、社員食堂でのルールまで多岐に渡っていました。

眞一は父の片腕としてさらに金谷ホテルを盛り上げようと、ホテル業の勉強に精を出していたのが、すごくリアルに伝わってきました。

まさしく金谷ホテルの宝物だと思います。