119:ガラス乾板
当ホテルには、たくさんのガラス乾板が残っています。そのどれもが、今では歴史資料として貴重なものばかりです。
ホテルやスタッフの様子はもちろん、日光の観光スポットや町の風景を写したものも多く見受けられます。
ガラス乾板とはガラスの板に感光材を塗布したもので、「フィルム写真のガラス版」という大まかな説明ができると思いますが、今やそのフィルム写真の時代からも遠ざかっているように思えます。
フィルムカメラで撮影し、ネガフィルムを現像に出して、仕上がりを楽しみに待つ。そんな時代がありました。
今では、手元でたくさんの写真を撮影し、保存しておくことも可能で、さらにそれらの発信も容易に出来ます。
思い出や記録を非常に簡単に扱うことのできる世界にあって、手段・モノとしてのガラス乾板とその時代のことを考えます。
ネガフィルムと同様に、これらのガラスの中には反転した世界がおさめられています。
重く割れやすいことから、「かつてのもの」となり今では日常で目にすることが極めて少ないガラス乾板ですが、現実の世界を反転したモノトーンの一枚が、目まぐるしい技術進歩を遂げる今にあって、様々教えてくれているような気もします。